NTTデータの号砲で揺れる「地銀システム争奪戦」 「クラウド化」の荒波で業界勢力図に変化か

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NTTデータがぶち上げた構想で、業界の勢力図はどう変化するのか。
2022年11月にNTTデータが発表した「統合バンキングクラウド」構想。現在同社が地銀向けに展開する4種類の勘定系システムを、1つのクラウドに集約するという内容だ。これにより、最大で国内約4割の地銀が相乗りする巨大なクラウド利用圏が現実味を帯びる。
東洋経済オンラインのデジタル特集「地銀システム動乱」では、地銀の勘定系システムをめぐるベンダー間の栄枯盛衰や、大胆な構想を掲げたNTTデータの思惑、それを迎え撃つIBMの戦略などに迫った。
以下の記事を無料でお読みいただけます。

「広銀ショック」が告げる地銀システムの地殻変動

「合併でもないのに、ベンダーを変えるとは何ごとか」。1本のプレスリリースに、銀行やIT業界関係者の間でどよめきが広がった。

11月11日、広島銀は勘定系などのシステムを刷新すると発表した。同行のシステムは日本IBMが運用を受託しているが、2030年度をメドにNTTデータが運用する「MEJAR(メジャー)」に移行する。

約20年間連れ添ったIBMとの離縁を決めた広島銀行。今後はNTTデータと組む横浜銀行などとシステムを共同化する(左写真:記者撮影、右写真:梅谷秀司)

勘定系システムをめぐっては、これまでもベンダー間で受注競争が繰り広げられてきた。だが、今回の広銀の鞍替えは様相が異なる。広銀は2003年から、福岡銀と共同でIBMのシステムを利用しており、IBMとは昵懇と見られていたためだ。

20年来の付き合いだったIBMとの離縁は、地銀のシステムをめぐる再編機運の高まりを示唆する。>>記事の続きはこちら

独自集計!20年で激変した地銀システムの勢力図

金融インフラである銀行の勘定系システムの受注をめぐって、大手ベンダーがしのぎを削っている。

この20年間でベンダー間のシェアはどう推移してきたのか。東洋経済は2002年当時と2022年現在とで、全国の地銀が採用している勘定系システムを集計。システムをめぐるベンダーの栄枯盛衰を一覧にまとめた。

20年前と比較して目立つのは、NTTデータの躍進だ。2002年当時はIBMや富士通、日立製作所に次ぐ4番手だったが、2022年には4割以上のシェアを握る圧倒的首位に立つ。>>記事の続きはこちら

NTTデータが地銀システム「大同団結」を狙う真意

国内の約半数の地銀が、1つの勘定系システムを利用する――。そんな大胆な計画が飛び出した。

地銀向けの勘定系システムをめぐってNTTデータが発表した構想に、銀行やIT業界からは驚きの声が上がっている(記者撮影)

2022年11月にNTTデータが発表した「統合バンキングクラウド」構想だ。現在同社が地銀向けに展開する4種類の勘定系システムはメインフレームを基盤としているが、これを1つのクラウドに集約する。地銀は自前で大型設備を持つ必要がなくなるうえ、スケールメリットも働き運用コストの削減が期待できる。

NTTデータの悲願だった「大同団結」。その狙いについて、同社で長年にわたり金融機関のシステム運用を担ってきた鈴木正範常務執行役員に聞いた。>>記事の続きはこちら

地銀システム大動乱時代、迎え撃つIBMの「秘策」

「狙い澄ましたようなタイミングだ。顧客の動揺を鎮めるべく、先んじて発表したのではないか」。プレスリリースを見た銀行関係者は、そういぶかる。

2022年11月10日、日本IBMが公表した1本のプレスリリース。「次世代勘定系ソリューション戦略」と銘打ち、銀行の勘定系システムの将来像を提示している。

「レガシー」とも揶揄されるメインフレームを、IBMはなぜ重宝するのか(撮影:尾形文繁)

その翌日、20年近くにわたりIBMのメインフレーム上で勘定系などのシステムを稼働させてきた広島銀行が、2030年度をメドにNTTデータが開発・運用するクラウドシステムへ移行すると発表した。 IBMとは昵懇と見られていた広銀の突然の発表に、銀行やIT業界には衝撃が走った。

クラウド化をめぐっては、NTTデータのみならずBIPROGYなど同業のベンダーも攻勢をかける。しかしIBMは、あくまでメインフレームを軸に据える姿勢を崩さない。日本IBMの村田将輝常務執行役員は「メインフレームの提供を止めないでくれ、という声が顧客から来ている。われわれも投資を継続していく」と強調する。>>記事の続きはこちら

一井 純 東洋経済 記者

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いちい じゅん / Jun Ichii

建設、不動産業の取材を経て現在は金融業界担当。銀行、信託、ファンド、金融行政などを取材。

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