量ではなく金利水準を目標に
米国をはじめ世界中の中央銀行が急速な利上げに動く中、日本銀行だけが超低金利政策に固執する──。2022年末のサプライズ利上げで立ち位置の修正を開始したものの、黒田日銀は世界の中銀の中でも特異性が目立つ。なぜそうなったのか。
国際比較で日銀が特別なのは、「長短金利操作」(イールドカーブ・コントロール=YCC)という異例の政策を採用していることだ。
FRB(米連邦準備制度理事会)やECB(欧州中央銀行)など世界の主要中銀も非伝統的な大規模量的緩和政策を進めてきたが、これは中銀が購入する国債などの金額に目標値を与えるもの。長期金利の低下に寄与するものの、目標はあくまで購入量であり、その時々の市場の情勢により長期金利自体は変化する。この点、金利水準をターゲットとして公開市場操作を行う短期金利の政策とは明確に異なっている。
しかし、日銀が16年9月に採用したYCCでは、短期金利に加え、長期金利でも量ではなく金利水準を目標に据える。ゼロ%程度(現在はプラスマイナス0.5%)という目標値を設定し、そこに長期金利が収まるように日銀が国債購入量を増減させる仕組みだ。
端的に言って、日銀が世界で孤立し、現在のように混迷を深めたのは、このYCCが導入された16年以降のことである。
黒田日銀は、13年4月に異次元緩和を開始した当初こそ狙いどおりに予想インフレ率を高めることができた。が、その後は原油価格下落や消費増税の影響などを受けて失速。14年11月に追加緩和、16年1月にはマイナス金利政策導入(短期金利)と緩和策を拡大したが、それでも目標としていた2%物価上昇率を実現できないことは明らかになっていった。
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