「メタバース」でのデートで恋が発展する理由 「本来の自分」を投影する3D仮想空間と拡張現実

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また、アバターを介したメタバース内での活動は、外観によるパーソナリティの表現を伴うことから、装飾品市場も拡大していくだろう。

パーソナリティを表現するにあたって、自分自身の外観はその最大の表現手段の1つである。そのため、アバターの自己に対して、人々は、自身が発信する内容だけでなく、その外観にも強くこだわるようになっていくだろう。アバターを用いたパーソナリティの表現は、より現実世界に近づくのではないか。

ルイ・ヴィトンやグッチもメタバースに参入

このような世界が訪れた際に、特に影響が予想されるのは、ファッション性を売りにした商品を扱う事業者やハイブランド事業者であろう。着心地の機能性に強みを持つ衣料品や、スキンケアを目的とした基礎化粧品などは、メタバース上での活動が広がってもなお、消費者からの需要は維持されると考えられる。

ただし、外観や印象を変化させることが目的の商品は、パーソナリティの表現の場が移り変わることによって、現実世界での需要が減少し得ると考えられる。

すでに、ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)やグッチ(GUCCI)のような一部のハイブランド事業者がデジタル市場に参入する動きをみせているように、こうした事業者は、自身のブランド力やトレンドを創り出す力をデジタル装飾品市場でも維持すべく、メタバース市場への早期参入を十分に検討する必要がある。

澤田 和志 野村総合研究所 シニアコンサルタント

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さわだ かずし / Kazushi Sawada

野村総合研究所ICTメディアコンサルティング部、シニアコンサルタント。情報通信、放送メディア分野における技術戦略、標準化政策調査・研究などに従事。米国ビジネススクールでMBAを取得。主な著書には『ITナビゲーター』のモバイルキャリア・ワイヤレスブロードバンド市場や携帯電話端末市場などがあり、5G・ローカル5G・Beyond 5G(6G)などを含む情報通信分野に関する講演や執筆も多数。

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