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「ひたすら分析」の日本式マーケティングが陥る罠 あのタクシー広告も手がける日本のPR王が指摘

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「PR会社の仕事の本質は、企業の発信したい情報と消費者の受け取りたい情報の間を取り持ち、ギャップを埋めること」だと語る西江肇司社長(撮影:尾形文繁)
縮小するマスメディアとは対照的に、企業による記者への広報活動などを請け負ってきたPR会社の最大手・ベクトルが、右肩上がりの成長を見せている。
11月14日発売の『週刊東洋経済』11月19日号では「氾濫するPR」を特集(アマゾンの購入ページはこちら)。情報流通の新たな担い手となりつつあるPR会社・業界の分析や、失敗しない定番オウンドツールの活用術、そしてこれらと対照的に不振が極まるマスメディアの現在地などを追っている。
ベクトルは従来のPR事業の支援範囲をSNS運用や動画制作、インフルエンサー活用などまで広げ、タクシー広告「GROWTH」などの自社サービスも展開。2022年2月期の売上高は473億円と14期連続増収を達成し、過去最高益をたたき出した。
創業社長の西江肇司氏を直撃すると、現代のマーケティングに対するアンチテーゼが成長を支える構図が見えてきた。

きれいなCMに消費者が反応しない時代

――近年、事業領域が広がり、成長のギアも上がってきました。

2014年にアメリカの業界誌「PRWEEK」が発表したランキングで、当社が日本のPR会社のナンバーワン(PR関連事業の売上高ベース)になり、PR以外の事業に踏み出していくことにした。それが海外では普通のことだと気付いたからだ。

『週刊東洋経済 2022年11/19号 氾濫するPR』(東洋経済新報社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。紙版はこちら。電子版はこちら

この領域で最も勢いがあるのは中国だと思うが、現地の同業は儲かるなら動画でもなんでも、フットワーク軽く進出する。当社が(2017年に)買収したハワイのPR会社もデジタルマーケからアドテク(広告技術)まですべて手がけている。日本のPR会社はPR業に専念しがちだが、それだと面白くない。

SNSや動画を中心にメディアが大きく変化する中、中国・欧米と日本とでPR会社の役割に違いが生じている。もっと言えば、日本人のいうPRの概念はなくなりつつある。今やグローバルで語られているのは「(メディアとの関係づくりなど)狭義のPR」ではなく、「広義のPR」だ。

――要因は消費者側の変化ですか?

単純な広告に消費者が反応しない時代になり、企業の情報もきれいに作り込んだCMなどでなく、SNSや動画サイトで自然に見てもらえるコンテンツとして流すようになってきた。

一方でTikTokを見るとよくわかるが、とくに短尺動画になると(純粋なユーザー投稿コンテンツなのかスポンサードコンテンツなのかを)受け手があまり意識せずに見ているのが現状だ。

PR会社の仕事の本質は、「企業が広めたい情報」と「消費者が受け取りたい情報」の間を取り持ち、ギャップを埋めることだと思っている。ニュース・コンテンツづくりというところまで新しい企業ニーズが広がっているなら、当然われわれの守備範囲になる。

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