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「右と左」ではなく「上と下」の対立が問題な理由 「新しい階級闘争」を回避し民主主義を守る思想

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ドナルド・トランプ前アメリカ大統領の支援を受け、今回の中間選挙で当選したオハイオ州のアメリカ共和党上院候補、J.D.バンス氏。バンス氏は全米で100万部を超えるベストセラーとなった『ヒルビリー・エレジー』で、繫栄から取り残された地方の白人労働者の怒りや不信感を綴っている(写真:Eli Hiller/Bloomberg)
グローバル化の問題点は「新しい階級闘争」を生み出した。新自由主義改革のもたらした経済格差の拡大、政治的な国民の分断、ポリティカル・コレクトネスやキャンセルカルチャーの暴走である。
アメリカの政治学者マイケル・リンド氏は、このたび邦訳された『新しい階級闘争:大都市エリートから民主主義を守る』で、各国でグローバル企業や投資家(オーバークラス)と庶民層の間で政治的影響力の差が生じてしまったことがその要因だと指摘している。
私たちはこの状況をいかに読み解くべきか。同書に寄せられた評論家の中野剛志氏による解説を一部編集の上、お届けする。

「リアリズム」と「経済ナショナリズム」

マイケル・リンドという思想家の名は時折耳にしたことがあり、興味も持っていたが、うかつにも、これまで彼の著作を読んだことはなかった。

『新しい階級闘争: 大都市エリートから民主主義を守る』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

だが、今回、本書『新しい階級闘争』の解説を依頼されたことを契機に、本書を含む彼の著作に触れた。

そして、本書の解説を依頼された理由を知ることとなった。というのも、リンドの思想は、私がこれまで展開してきた主張と、ほとんど同じであったからだ。

たとえば、リンドが2015年にナショナル・インタレスト誌に寄稿した「アメリカのナショナリズムの擁護(The Case for American Nationalism)」 に目を通してみよう。

この論文の中でリンドは、冷戦終結前までのアメリカの戦略を支えてきた戦略思想を擁護する。

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【「リアリズム」と呼ばれる思想】

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