車両保険金の水増し請求をめぐって、大手損害保険会社が揺れている。
疑惑の渦中にいるのは、中古車販売大手のビッグモーター(東京都港区)だ。広告チラシなどで「年商6500億円! 社員数6000人!」と業界大手であることを強調している同社は、中古車の買い取り、販売のほか自動車保険の代理店事業や自動車修理などの板金事業も手掛けている。
実はその板金事業において、車両修理費用の水増し請求を組織的に行っている疑いが浮上し、取引のある大手損保各社が今まさに対応に右往左往しているのだ。
ビッグモーターの複数の関係者によると、水増し請求が表面化したのは2021年秋のこと。損保の業界団体に「上長の指示で過剰な自動車の修理をし、その費用を保険会社に請求している」という旨の内部通報があったことがきっかけだ。
全国の工場で水増し請求の疑い
内部通報を受けて、ビッグモーターと取引のある損害保険ジャパン、東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険の3社は2022年2月以降、修理費の請求書類を各社それぞれ数百件抽出してサンプル調査を実施。すると、全国に33ある整備工場のうち25の工場で、水増し請求が疑われる案件が合計80件超見つかったという。
中には、損傷のない車両のパネル部分に板金塗装を施したり、中古部品を新品と称して付け替えたりといった不正が疑われる悪質なケースもあったようだ。
そのため、3社はビッグモーター側に自主的な調査を要請。大手3社ともにサンプル調査で疑いのある案件が見つかった関東地域の4工場について、さらに詳しく調査をさせたところ、4工場すべてで水増し請求が確認されたという。
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