赤字路線、運賃値上げで「収支均衡」は可能なのか JRの「営業係数」「収支率」から試算してみた

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芸備線を走る列車。同線の東城―備後落合間の営業係数は26906だ(写真:うさぎ/PIXTA)

近年、JR北海道やJR四国、JR西日本などが、100円稼ぐのに必要な費用を示す「営業係数」という指標や収支率などを公表し、赤字ローカル線運営の窮状を訴えている。

都市部に住んでいるとどうも「自分ごと」になりにくいこの問題。ただ、現状では都市部の鉄道で稼いだお金でこれらの路線を維持しているわけで、都市部の利用者にも無関係ではない。

そのヤバさをわかりやすく見てみようと、問題の各線区の営業係数や収支率などから、今の利用者数のままなら運賃を何倍すれば収支トントンになるのか試算してみた。もちろん実際には乗客の利用区間などさまざまな条件があるので、これはあくまで単純計算である。なお、算出した普通運賃では小数点以下は四捨五入、定期運賃は10円未満四捨五入とした。

黒字路線を「プラマイゼロ」にするには

都市部にお住まいの方が比較しやすいよう、まずは逆に黒字である山手線だといくらの水準で収支プラマイゼロになるのか見てみよう。

2017年公開の梅原淳氏の記事による試算では、山手線の営業係数は53.2円。約50円ということはおおむね今の運賃の約半額でも黒字化できるということだ。ではいくらになるか。

これは単純化すれば「現行運賃÷(100÷営業係数)」で計算できる。例えば、実際の初乗り運賃は136円。1カ月定期は3950円だ。これを収支プラマイゼロになるようにすると、136÷(100÷53.2)=72ということで、普通運賃は72円、定期は月2100円。いかに効率的な運営ができているかがうかがえる。

賭け事に例えるなら、オッズ1.88倍の賭けに100%の確率で勝っている状態といえば、いかにウハウハであるかの実感が湧きやすいのではないだろうか。もっとも、コロナ禍で利用者が減っている現状ではこの限りではない。

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