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『偽装同盟』 露軍統治下舞台の警察小説 「下向きのif」の面白さ

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  • 赤上 裕幸 防衛大学校人文社会科学群公共政策学科准教授
偽装同盟(佐々木 譲 著/集英社/1980円/384ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
[Profile]ささき・じょう 1950年生まれ。広告代理店、自動車メーカー勤務を経て、79年に『鉄騎兵、跳んだ』でオール讀物新人賞受賞。『エトロフ発緊急電』で日本推理作家協会賞など、『武揚伝』で新田次郎文学賞、『廃墟に乞う』で直木賞をそれぞれ受賞している。

3部作の2作目に傑作ありだ。映画『ゴッドファーザー』がそうだろう。第2次世界大戦で英国がナチス・ドイツと講和を結ぶ歴史改変小説『ファージング』(J・ウォルトン)もそうだった。

日露戦争で日本が負けた架空の歴史を描く本作も3部作の2作目である。1作目の『抵抗都市』(2019年)では敗戦から11年後の大正5年10月、本作では大正6年3月の出来事が描かれる。舞台設定の描写が巧みで話も独立しているため、どちらを先に読んでも楽しめる。

敗戦国の日本は外交権と軍事権を喪失し、日比谷に置かれたロシア統監府の統治下にある。主人公は警視庁の刑事だが、統監府が追う事件に日本の警察は手出しができない。街ではロシア人の移住が進み、本郷通りは将軍の名を取ってクロパトキン通り、淡路町から万世橋駅までの通りはプーシキン通りと呼ばれる。

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