日本電産が「半導体のエース」獲得に秘めた真意 狙いは「EV向けモーター」の安定供給だけか

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半導体業界関係者の注目を集めた、2月1日付の役員異動のリリース。この人事にどんな意味が込められているのか。

決算発表前、永守重信会長(右)が関潤社長(左)に失望を深めているという一部報道も流れたが、永守氏は「ばかな話だ」と怒りをあらわにして一蹴した。写真は2020年2月(撮影:ヒラオカスタジオ)

モーター世界最大手、日本電産の幹部人事が話題を呼んでいる。

同社は1月26日、2021年4~12月期決算の発表と同時に、2月1日付の役員異動に関するリリースを公表。対象者の肩書以外に何の説明もない無味乾燥なリリースには、日本の半導体業界で知らない人はいないエース級の人物の名が記されていた。

半導体の供給不安に危機感

「日本電産の半導体をどうするか、戦略をきちんと作ってくれるのではないか」

永守重信会長は1月26日の決算説明会で、新たに登用する役員への期待を語った。その人物とは、直近までソニーグループで技術インテリジェンス渉外担当執行役員を務めた大村隆司氏だ。

半導体業界関係者の注目を集めた、役員異動に関する1枚のリリース(編集部撮影)

大村氏はかつて、半導体大手のルネサスエレクトロニクスの車載事業トップだった。2019年にソニーへ移籍し、半導体子会社のソニーセミコンダクタソリューションズで副社長などを務めた。

日本電産では、副最高技術責任者として半導体開発を担当する。永守氏の後継者として2020年に日産から移籍した関潤社長に続く、車載分野での外部人材の登用となる。

大村氏の第一のミッションは、日本電産が使用する半導体の安定調達だが、今回の人事にはそれ以上の意味もありそうだ。

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