[解決のポイント]
・ほんの少しの思いやり
・裁判外紛争解決の利用
「理事会の世代間抗争に疲れ果てた」──。
東京・江東区のタワーマンションで理事を務める田中篤美さん(仮名、40代)は、ため息交じりにこうつぶやいた。田中さんのマンションでは、約20人の理事の間で“いがみ合い”が絶えない。
「理事会でよくもめるのは、修繕箇所の優先順位。子育て世代の理事と高齢理事のグループの間でなかなか折り合いがつかない」(田中さん)。例えば、駐車場からタワー棟までのひさしの設置。3年ほど前、「雨の日に小さな子どもや買い物の荷物を抱えながら傘を差すのは大変なので、10メートル程度のひさしを作ってほしい」との要望が、相当数の子育て世代の住民から理事会に寄せられていた。
理事会で話し合い、若手理事らが区役所に何度も足を運び、ひさし部分は建築面積に含まれず建ぺい率が変わらないことを確認するなど細かな準備も着々と進めていた。だが、工事の見積もりを取る段階になって、年配の理事らが反対し始めた。「とくに年配の理事長が『子どもや荷物なら下に降ろして傘を差せば済む話だ』と大反対。結局、ひさしの設置は頓挫した。その一方で、植栽を充実させたい、フィットネスコーナーに健康器具を置きたいといった年配理事たちの主張は承認され、次々に実現されていった」(田中さん)。
居住者と非居住者に溝
このマンションの理事長は大手建設会社OB。理事会では不動産の専門用語を駆使して声高に主張を押し通そうとする。対する若手理事にも弁護士、設計士がいるが、理事長は彼らの提案に感情的になって反対する。そんな理事会のありさまに嫌気が差し、ひさし問題の後、3人の若手理事は任期途中で退任してしまったという。
実際に住んでいる「居住者」と、部屋を貸して賃料を稼ぐ「非居住者」とが考え方の違いから険悪になるケースもある。東京・港区のタワーマンションで理事長を務める大野正さん(仮名、60代)は話す。
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