FRB(米連邦準備制度理事会)がいよいよ来月初めにも量的緩和のテーパリング(縮小)開始を決定する見通しだ。ただ、米金利市場は、テーパリング自体はほぼ織り込み切っている。夏場に一時1.1%台まで低下した米10年国債金利が今月に入って1.6%台まで上昇した動きは、テーパリング開始に反応したものではないだろう。市場の関心はすでにその後の利上げのパスに移っているからだ。
実際、テーパリングを織り込んだとみられる今年1〜3月の米長期金利の上昇と、ここに来ての上昇とでは大きな違いがある。1〜3月の金利上昇では米30年国債金利が0.8%ポイントと大きく上昇したのに対し、将来の利上げパスをより反映する米5年国債金利は0.6%ポイント程度の上昇にとどまった。しかし、9月以降の金利上昇ではむしろ米5年国債金利の上昇幅のほうが大きくなっている。市場は、来年半ばのテーパリング完了後、高めのインフレ率を背景にすぐにも利上げが始まるとの予想をし始めているのである。
14年と違うインフレ率
2014年に始まった前回の正常化プロセスでは、当初から米30年国債などの長期債金利の上昇とともに、利上げ見通しを反映する米5年国債金利も大きく上昇した。これに対し、今回市場が、1〜3月の時点で利上げ開始は遅くなるとみていた背景には、昨年のFRBによる「平均物価目標」の導入があった。インフレ率の一時的な2%超えを容認するこの新しい政策目標は、利上げのパスをかなり緩やかなものにすると市場はみていたわけである。
14年からの正常化局面では、当初FRBのメンバーは、15年中にも3〜4回の利上げが行われると予想していたにもかかわらず、実際の利上げ開始は15年末までずれ込んだ。16年の利上げも1回だけにとどまり、当初の市場想定よりペースは大幅にダウンした。こういった正常化プロセスの「遅れ」を反映する形で、米長期金利は14年から16年にかけて累計で約1.7%ポイントも低下してしまっている。
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