2カ国間の金利差は為替相場の変動要因の中でも、重要なものの1つだ。ただし、どの金利差を見るべきなのかは、その時々や目的で異なってくる。
まず、名目金利差でいえば、主要国中央銀行がゼロ金利・マイナス金利政策を導入する前は2年金利差を見ることが多かった。2年金利は将来の政策金利の変動予想をより強く反映するためだ。しかし、ゼロ金利・マイナス金利政策の導入後は10年金利差のほうが為替相場との相関が強くなった。現状はFRB(米連邦準備制度理事会)の利上げが徐々に織り込まれ始めたためか、ドル円相場は2年、10年双方の日米金利差の影響を受けているように見える。
もっとも、名目金利差は2年、10年共に、長期のドル円相場の分析には適していない。例えば、日米2年金利差は現状0.3〜0.4%ポイント前後だが、これはドル円相場が1ドル=80円台だった2010〜11年ごろと同水準だ。日米10年金利差は現状1.3〜1.4%ポイント前後だが、11年にドル円相場が70円台で推移していた頃に10年金利差はもっと大きいこともあった。
つまり、名目金利差と為替相場の間には長期的な相関関係はなく、短期的な変動に影響を与えると考えたほうがよさそうだ。今後FRBの利上げ期待から日米名目金利差が拡大していく中で、短期的にはそれがドル円相場に影響を与える可能性はあるが、例えばFRBがある程度利上げを進めていることが想定される3年後の24年時点について、予想金利差からドル円相場を当てるのは難しいだろう。
長期では実質金利差
長期的な為替相場を予想するのに適しているのは、名目金利差ではなく実質金利差であろう。市場参加者からは「実質金利差を見ながら取引はしない」という声がよく聞かれる。短期的な為替相場の変動には名目金利差のほうが影響を与えるため、そうした声はもっともだ。しかし、経済的合理性を考えると、実質金利差のほうが為替に影響する度合いは強いのではないか。実際、政策金利から消費者物価指数の前年比(食料・エネルギーを除く総合)を引いた実質金利の日米の差は、長期のドル円相場に影響しているように見える。
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