東京五輪の陸上女子1500メートルで決勝進出して8位に入賞した田中希実選手は、日本女子の中距離種目では、1928年アムステルダム大会の800メートルで銀メダルを獲得した人見絹枝選手以来、93年ぶりの快挙といわれた。
その田中選手の「自分の常識を覆すことができた」という印象的なコメントが心に残っている。さらに「今後いつ、巡り合えるか。気持ちや状況は一期一会なので」という言葉も残した。
アスリートたちの言葉は奥深く心に染み込むものが多い。例えば、水泳で金メダルを2つ獲得した大橋悠依選手は「自分がやってきたことを救ってあげたい」と言い「全部に意味があったと思えるには、ここで全部、自分を出し切るしかない」とも語っていた。
アスリートたちの自己追求には、これでいいということがない。貪欲に自分自身の限界に挑戦していく。いつだったかジャック・ニクラスに聞いたことがある。
「あなたは地位も名誉も財産も、そして実績、記録もすべて手にしているにもかかわらず、まだ高みの領域で戦いたいと思っている。それはどうしてなんですか?」
するとニクラスは「うまくなりたいというデザイアー(熱望)だと思う。それに自尊心かな」と答えた。
2000年の全米オープン。それはニクラスにとって全米オープン最後の戦いと宣言した大会だ。長い長いインタビューの最後に、ニクラスは、こう語った。
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