先進国に比べ新興・途上国のワクチン接種や経済再開は大きく遅れている。どう対応すればいいのか。途上国の開発支援を担う国際組織・アジア開発銀行の浅川雅嗣総裁に話を聞いた。
──ワクチン接種の状況は?
7月下旬時点で世界のワクチン接種は累計35億回を突破したが、その9割近くは中高所得国に集中している。変異株が拡大する中、途上国のワクチン接種は時間との闘いだ。アジア開発銀行は昨年末、開発途上加盟国がワクチンを迅速に調達するための90億ドルの融資枠「APVAX」をつくった。加盟国には医療従事者や高齢者、貧困層の接種を優先するワクチン分配計画を求めている。6月末までに7カ国15億ドルの融資が決まり、別途3.2億ドルの協調融資も動員した。
──支援はそれで十分ですか。
資金は確保したが、実際に買えるワクチンがない。先進国が先に契約してワクチンを押さえてしまったからだ。各国へ平等にワクチンを分配するための国際的な枠組み「COVAX」は、途上国にとって、製薬会社との交渉やワクチンの調達・輸送・保管を代行してもらえるというメリットがある。われわれはCOVAXと協働する一方、ワクチン供給そのものを増やすため、加盟国であるインドやインドネシア、ベトナムの生産拠点へ融資することなども検討中だ。
米中向け輸出が牽引車
──域内の経済成長見通しは?
昨年、アジア途上国全体のGDP(国内総生産)は60年ぶりのマイナス成長(0.1%減)になった。今年は経済好調の米中に向けた輸出拡大が追い風だが、域内の消費は弱くU字回復といえる。今年の成長率見通しでは中国の8.1%増やインドの10%増が目立つ一方、感染拡大は依然最大のリスクであり、現在はタイやインドネシアの状況が悪い。タイや太平洋島嶼(しょ)国など観光立国は一部の例外を除き総じて厳しい。
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