菅義偉首相は、4月の国会で「こども庁」の創設を検討する考えを示した。子ども・子育て分野は、仕事と育児の両立の難しさ、子どもの貧困や教育格差、少子化の進展などさまざまな課題がある。その対策は内閣府、厚生労働省、文部科学省など複数の省庁にまたがってきたが、「縦割り行政」の弊害を克服して、一元的な組織を創設するという。
こども庁の青写真は明らかになっていないが、この分野の重要課題の解決に向かうのであれば、歓迎したい。筆者は、とくに以下の2つの課題が重要だと考えている。
第1の課題は、子育てや教育分野の財源確保である。OECD(経済協力開発機構)によれば、子育て関連の社会支出(対GDP〈国内総生産〉比、2017年度)は英国3.19%、ドイツ2.40%、スウェーデン3.42%に対し、日本は1.58%と低い。また、16年の小学校から大学までの教育機関に対する公的支出も、日本はOECD35カ国の中で最も低い。
こうした中、高齢者に偏った社会保障給付を削減し、それを子ども・子育て分野の財源に充当すべきだという意見がある。しかし、日本の社会保障給付の規模は、高齢化率を勘案すれば低水準である。高齢者1人当たりの給付水準が高いわけではない。それもあって日本の高齢者の貧困率は20%と、OECD諸国平均の13%よりも高い。
また、介護保険などの高齢者向け給付を削れば、最終的には家族への負担となって現役世代が抱えることになる。子育て負担は軽減されたが介護負担は重くなった、というのでは意味がない。
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