バイデン新政権は気候変動対策などの重要課題の推進に向け、規制を積極的に活用する方針である。トランプ政権での環境規制緩和を見直す大統領令などにすでに署名した。中でも見逃せないのが、規制を作る仕組み自体を変えようとする取り組みだ。
焦点となるのは、情報・規制問題室(OIRA)という聞き慣れない組織の役割である。OIRAは大統領府の行政管理予算局(OMB)に属する組織で、各省庁が作成した規制案を審査する。OIRAの了解を得なければ規制は実行に移せない仕組みであり、いわば各省庁が政権の方針に従っているかを見張る門番だ。
規制強化を主張してきた民主党のリベラル派は、監視役であるはずのOIRAを目の敵にしてきた。リベラル派からみたOIRAは、規制がもたらす経済的なマイナス面ばかりを重要視し、健康や安全の面でプラスとなる規制を阻むという、目障りな存在だった。
リベラル派の嫌悪も無理はない。OIRAに現在の役割を与えたのは、規制緩和を加速させた共和党のレーガン政権だ。その審査は業界団体が自らの利益確保を願い出る場となり、規制の内容を薄めるような指示が各省庁に出されてきた。例えば2009年に提案された、火力発電の副産物である石炭灰の規制案では、審査に5年もの歳月が費やされたうえで、厳格な規制を逃れる修正が加えられた。
バイデン政権は、OIRAの役割を根本から変えるつもりだ。バイデン氏が大統領就任初日の1月20日に署名した覚書には、OIRAの審査手続きを見直し、規制がもたらすプラス面をしっかり考慮するような方針が明記された。
バイデン政権は、OIRAが規制の推進役になる姿を描く。覚書によれば、社会に大きなプラスをもたらす規制を進めるために、率先して各省庁に働きかけることが新生OIRAに期待される。規制によるマイナス面を薄めるようなこれまでの役割からは、180度の方向転換である。
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