トランプ前大統領の「アメリカ・ファースト」は、バイデン新大統領の国際協調に置き換わった。とはいえ、アジアの最重要同盟国である日本と韓国は折り合いが悪い。いがみ合う日韓の仲裁にバイデン政権はトランプ政権よりも力を入れるだろう。ただ、どちらかに肩入れはせず、多国間枠組みの中で両国が協力するよう仕向けるスタンスを打ち出してくるとみられる。
バイデン氏にとって、米日韓の緊密な連携はアジア戦略の要だ。これは北朝鮮による挑発を抑止し、中国への対抗力を上げるだけでなく、気候変動や経済といった別の共通課題に対処する基盤ともなる。
バイデン氏はオバマ政権時代に米日韓の3カ国協力を主導した人物を外交チームの要職に据えた。国務長官に就任したブリンケン氏や、ホワイトハウスで新設となる「インド太平洋調整官」に起用されたキャンベル氏は日韓との同盟関係に明るい。バイデン氏本人からして、いわゆる従軍慰安婦問題をめぐる2015年の日韓合意を水面下で取り持った当事者である。
ところが、その日韓合意は瓦解し、日韓の関係は今もこじれ続けている。韓国の裁判所は慰安婦訴訟で日本政府に賠償を命じた。元徴用工訴訟でも日本企業の資産を現金化する手続きを進めている。
緊張を緩和しようと米国が韓国の政治家に圧力を加えるにしても、事が司法がらみだけに厄介だ。政治の力で判決を覆したら三権分立が崩れる。日本政府も韓国司法の国際法違反に激怒しており、米国が中立の立場から和解を促したところで耳を貸すとは思えない。
国家が外国の裁判権に服さないとする「主権免除」の原則によって日本はこうした裁判から守られているはずだったし、米政府も主権免除を支持する立場だ。さらに米国は自らが戦争と講和の歴史を抱えているため、日本の植民地支配に対する韓国への賠償は完全かつ最終的に解決したとする1965年の日韓請求権協定の見直しを後押しする展開も考えにくい。つまり、バイデン氏が和解に直接貢献できる余地はほとんどない。
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