史上最大の資金調達を予定していたアントグループのIPO(新規株式公開)は突然の延期となった。
アントはアリババグループの関連会社として、10億人超が利用するモバイル決済の「支付宝(アリペイ)」や金融事業を展開する。11月5日に香港、上海の証券取引所へのIPOを予定し、345億ドル(約3.6兆円)と史上最大の資金調達を見込んでいた。ところが、前々日の11月3日に延期が公表されたのだ。
伏線はあった。アントが手がける消費者金融事業の融資残高は1.7兆元(約26兆円)と中国の短期消費者融資全体の21%を占めるのに、大半は提携銀行を介した融資でバランスシートにはその2%しか計上されていない。しかも伝統的金融業が受ける資本規制の制約なしに膨張を続けている。金融リスクの火種になる懸念が指摘され、規制当局と長年つばぜり合いをしてきた。
今年6月には社名から「金服(フィナンシャルサービス)」を取りアントグループに改称、投資家らに対し「フィンテックではなく、テック企業だ」と強調していたのも、規制当局からの管理・監督や批判をかわすためだった。
命取りになったのが、10月24日に上海で開催された金融サミットでの、アリババ創業者・馬雲(ジャック・マー)氏のスピーチだ。同氏は2019年9月にアリババの会長職を退き自らを退休人士(引退者)と称していたが、直接保有と間接所有の合計でアントの発行済み株式の50.5%を保有。グループで最も革新的で金のなる木であったアントを実質支配している。
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