今年の米大統領選挙はすんなりと結果が出ず、事によると何週間にもわたり混乱するという予想は、今や常識に近い。投票の半数が期日前投票や郵便投票などになりそうで開票に時間がかかるうえ、トランプ大統領は「詐欺投票が増える」と批判、訴訟で決着をつける構えを見せている。
だが、問題はそれだけでない。過激化する左右勢力の暴力衝突が事態を激しく混乱させる懸念が、新たな論議の的になりつつある。
長年にわたり分断の溝を深めつつある左右勢力は、大統領選挙を前に互いへの疑念を強め、相手が投票結果を無視して、政権を奪取するのではないかと恐れている。
オンラインメディアでは「左派はクーデターを準備」(保守系オピニオンサイト「フェデラリスト」)、「MAGA(トランプ支持者)の暴動に左派も備え」(左派系ニュースサイト「デイリー・ビースト」)といった見出しが、日常的に見られるようになった。
米国では極右・極左両方で暴力的傾向が高まっている。安全保障分野での研究に定評のある戦略国際問題研究所(CSIS)はこの夏、「激化する米国のテロ問題」と題する報告書を公表。左右両勢力の暴力事件が、11月の大統領選挙をめぐって起きる可能性を指摘した。
同研究所のまとめによれば、米国内での極右・極左のテロ事件(未遂を含む)が2013年ごろから急増傾向を見せた。最近ではトランプ政権が発足した17年がピークで右派テロ事件は53件に及んだ。00年代初頭は左派の事件が多かったが、近年は右派による事件が際立つ(約7割)。昨年も右派による事件は44件に及んだ。今年は選挙結果をめぐる対立で左右ともに増える懸念がある。
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