大統領選挙の行方が注目される米国だが、結果にかかわらず、選挙後の政策運営は前途多難である。世論の分断は深く、政府不信が尾を引きそうだ。
「新型コロナウイルスの感染拡大前より分断は深まりましたか?」との問いに対し、回答者の約8割がイエスと答えた。8月に米ピュー・リサーチ・センターが発表した世論調査の結果だ。
2001年の同時多発テロ直後とは違い、危機下で国の団結が進む気配はない。米国民が感じているのは、さらなる分断の深まりだ。
米国の分断は、世界でも突出している。同時期に行われた各国の世論調査を集計すると、14の先進国における同様の回答の中位値は、5割弱にとどまる。日本に至っては、分断の深まりに同意する回答はわずか2割台である。
大統領選挙では、トランプ氏の当選が決まった16年の選挙と同様の分断が再現されている。コロナ禍や景気後退を経ても、トランプ氏への支持率は、夏場まで40%台前半で推移してきた。就任時からほとんど変化がなく、歴代の大統領と比べると安定感が際立つ。
夏場にかけてバイデン氏が優勢だったのも、トランプ氏への支持が揺らいだからではなかった。16年の選挙で第3政党に投票したり棄権したりした有権者が、バイデン支持に傾いただけである。クック・ポリティカル・リポートによれば、性別や人種、学歴などで分類しても、トランプ氏への支持率は、16年の選挙当時とほぼ同じ水準を維持している。
融和を掲げるバイデン氏も、分断を止められるとは限らない。人種差別是正の必要性を強調する戦略は、白人の反発を招きかねない。
実は民主党内には、16年の敗北を反省し、マイノリティー重視の色彩を弱め、白人票を取り戻そうとする動きがあった。しかしバイデン氏が選んだのは、マイノリティー重視を推し進める道だった。
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