新型コロナウイルスは世界的に流行したことで、通常の感染症の枠を超えて、政治、経済、社会に大きな影響を与えた。
だが、日本では何十万人死ぬといった脅威があるウイルスではないことがわかってきた。8月29日時点で新型コロナの検査によって陽性と判定された人は累計6.7万人、死者数は累計で1263人。これに対して例えば季節性インフルエンザはワクチンがあるのに例年1000万〜1400万人がかかり、治療薬があるのに昨年は約3500人が亡くなっている。
日本を含む東アジアで死者が少ないことについては、免疫、体質の違いなどの指摘があるが、現時点ではまだ解明中である。ただ、欧州でも7月以降は、感染者が増えても死者はあまり増えなくなっている。ウイルス変異や集団免疫の獲得はこれまた研究途上だが、高齢者の隔離や治療の進歩には一定の評価がある。
実態に合わせて、日本政府は8月28日の対策会議で、新型コロナについて指定感染症としての措置を見直す方針を発表した。
現在、新型コロナは結核・SARSなどと同じ二類相当で、これにより入院勧告・措置や場所の消毒・物件廃棄の要請ができる。さらに、2月14日に無症状病原体保有者も原則的に入院させるという一類の扱いが適用されており、これはエボラ出血熱・ペスト並みだ。
見直しには、季節性インフルエンザも流行する冬に備え病床を重症者優先で確保しておく狙いがある。これが季節性インフルエンザと同様の五類扱いとなれば、大転換を意味する。高齢者や基礎疾患がある人の重症化や死を防ぐことに対策の軸を移し、感染拡大はある程度容認することになるからだ。
冬の到来を前に見直しには反対意見も強く、まずは、無症状者を自宅療養とするなど部分的な修正から進めるのだろう。しかし、いずれは五類の扱いになり、日常を取り戻す未来が見通せる。
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