有料会員登録 東洋経済オンラインとは
政治・経済・投資 #Inside USA

バイデン氏の「大きな政府」は夢物語か 有権者への浸透には疑問符

3分で読める 有料会員限定
  • 安井 明彦 みずほ総合研究所調査部シニアプリンシパル
経済政策を発表するバイデン氏。国民のバイデン氏への関心はそれほど高くない(ロイター/アフロ)

米国の大統領選挙で、民主党のバイデン氏の経済政策の骨格が見えてきた。政府主導で構造問題に取り組むバイデン氏の提案は、減税や規制緩和を通じ市場の力で経済成長を目指してきたトランプ大統領の政策とは、明らかに違う。

バイデン氏の公約が実現すれば、歳出・歳入の双方が膨らみ、大きな政府が誕生する。歳出では、環境・インフラ投資に2兆ドル、製造業の支援に7000億ドル、育児・介護支援に7750億ドルを投じ、10年で総額5兆ドルを上回る巨費を投じる方針だ。

歳入でも、所得税・法人税の最高税率引き上げなど、10年間で4兆ドルを超える大型の増税が提案されている。

バイデン氏が大きな政府で取り組むのは、気候変動や格差といった構造問題である。

公約の目玉とされた環境・インフラ投資では、2035年までに発電部門の排ガスをゼロにするなどの目標を掲げる。格差対策として、貧しい地域への投資を優先したり、インフラを請け負う企業に対し、労働者の権利を尊重し、十分な給与を払うよう求めたりすることなどを盛り込んだ。製造業支援策でも、支援対象の企業には、待遇面などで労働者への配慮を求める方針だ。

一方で、米国の国益を優先する点では、バイデン氏はトランプ路線と同じだ。例えば、公共調達で米国製品を買い支えサプライチェーンの国内回帰を促す政策は、トランプ氏と変わらない。いわばバイデン流の米国第一主義である。

コロナ対策が正念場

大きな政府への流れを後押しするのは、新型コロナウイルスの感染拡大とそれによる景気後退だ。

感染対策と経済復興策への期待から、政府の巨大化に対する有権者の警戒感は低下している。米ウォールストリート・ジャーナル紙が6月上旬に実施した世論調査では、約6割が「政府はより多くのことを行うべきだ」と回答している。前回の景気後退となった08年のリーマンショック当時では、同様の回答は5割程度にとどまっていた。

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

政治・経済・投資

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数