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「公正な価格」を裁判所が決められるはずがない 経営者自身も正確に計算できない将来のシナジー金額

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企業が合併等の組織再編をするには、株主総会の特別決議による承認が必要だ。これは定足数を満たした総会で出席議決権の3分の2以上の賛成があれば通る。逆にいえば、3分の1の株主が反対しても合併は起きる。

この「反対株主」を救済するために、保有株を会社に買い取ってもらう「買取請求」という制度がある。では、この買い取り価格はいくらになるのか。旧商法では、買い取り価格は「合併の決議なかりせばその有すべかりし公正な価格」とあり、合併シナジーを含まない合併前の時価と考えられていた。しかし、2006年に施行された会社法では、これが単に「公正な価格」となった。その意味を、当時の法務省や高名な商法学者は「合併シナジーを含む価格」と解説した。

ある商法学者は、「合併そのものに反対する株主は合併前の時価でよいだろうが、合併には賛成だが『合併比率に反対』という株主もいるだろう。そういう株主を救済するために裁判所が客観的に見て正しいシナジーの分配(公正な価格)を決めるのだ」と主張。結局、こうした解釈が定着してしまった。

しかし、それは実務を知らない机上の空論ではないか。

合併前に予想したシナジーの金額は数学の問題のように明確に計算されるものではない。合併した経営者が努力して、合併前に考えたシナジーを実現しようとするが、実際にシナジーが実現する保証はどこにもないからだ。

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