中国政府が3月16日に発表した1〜2月の主要経済指標は、そろって歴史的な低水準だった。新型コロナウイルスの大流行を受けて1月23日には発生源の武漢を封鎖。ほかの地域でも春節(旧正月)の休暇を延長してきただけに当然だ。今年の経済成長率は昨年の6.1%を下回るのはもちろん、通年で5%を割る可能性が高まった。
習近平国家主席は3月4日に開かれた共産党常務委員会で、感染予防・抑制が成功し経済環境も好転しつつあるとの認識を示したうえで「小康社会(ややゆとりある社会)の全面的な完成および貧困脱却」の重要性を強調した。この時期に開催されるはずだった全国人民代表大会(全人代)が延期されたため、今年の政策の方向性を打ち出したものと思われる。
習氏は3月10日に新型コロナの流行後で初めて武漢を視察。中国の官製メディアは習氏のリーダーシップを賞揚し、中央の指導が奏功したという記事を量産中だ。
新型コロナの新規感染者数は武漢がある湖北省以外では継続的に低下し、中国では終息ムードが出始めた。戦時体制が終わった後は、経済的な打撃をいかに和らげるかが問われる。そこで優先されるのは、農村からの出稼ぎ者などの低所得者層と中小企業にセーフティーネットを提供することだ。
過去20年は経済成長のリーダーであることに統治の正当性を置いてきた共産党は近年、経済成長の鈍化に合わせて貧困撲滅などに軸足を移している。その看板である「小康社会」は2020年までに国内総生産(GDP)および国民の平均収入を10年の倍にすること、貧困人口をゼロとすること、そして環境問題の改善が3本柱だ。
1100万の人口を擁する武漢の封鎖という荒業を断行して危機対応の力量を見せた後は、国民生活の改善を演出して「中国の特色ある社会主義」の優位性を見せつける狙いと思われる。
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