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コロナ恐慌をもたらす経済心理学 将来の不確実性を前に機能しない「知識の分業」

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市場には、経済学者ハイエクが説いたように「知識の分業」という優れた特徴がある一方、将来の不確実性を前にするとそれが機能しないという面がある。

今回の経済・金融ショックの根源は新型コロナウイルスだが、実際に市場を動かすのは、あくまでそれによって右往左往する人間だ。主流の新古典派経済学の教義は、簡単に言えば「人間が合理的に判断して行動すれば、その集合体である市場や経済全体もうまくいく」という一種の同義反復だが、逆に言えば「誰もが次の展開を予想できない不確実性の下では、人間は合理的な行動を取れず、よって市場も合理的に機能しない」と言っているに等しい。

ただ、不確実性の下で人間がてんでバラバラに不合理な行動を取るなら、まだましだ。経験上言えるのは、「みんなが一斉に同じ不合理な行動を取る」こと。そして、それが市場の大惨事を招く。

不確実性下で人間が一斉に取る行動は、マクシミン原理と呼ばれている。「最悪時の損害を想定してその被害を最小化する」というものだ。事実、日本のトップである安倍晋三首相自身が2月末の緊急会見で「危機にあっては、つねに最悪の事態を想定し、あらかじめ備えることが重要だ」と国民に呼びかけている。

人間にとって、経済面での最悪事態とは「お金を払えなくなる(決済できない)こと」。そうなると生活基盤や地位を失いかねない。

「決済できない(債務不履行)」という最大の恐怖を避けるために人々は、とにかくお金や預金など安全資産を増やしまくる。具体的には、一斉に消費を抑制し(現在は移動制限による消費減少が目立つが)、投資においては株などのリスク資産から現預金や国債に資金をシフトする。前者が不況、後者が資産価格急落や場合によっては金融危機をもたらすのは言うまでもない。

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