「不動産価格に影響はあるのか」──。3月29日から運用が始まる羽田空港の新飛行ルートに対して、こんな懸念が上がる。やり玉に挙げられるのは、航空機が発する騒音だ。国土交通省によれば、航空機が着陸時に発する騒音は60~80デシベル。1月末から2月中旬にかけて実施された新飛行ルートの飛行確認では、川崎市で最大94デシベルが記録された。これは地下鉄の車内に相当する騒音だ。
不動産価格への影響について、国交省は成田・伊丹・福岡空港周辺の地価と飛行高度とを比較し、「航空機の飛行経路との因果関係は見いだせない」としている。実際の現場では、どのように受け止められているのか。
JR京浜東北線で品川まで1駅の大井町駅。新飛行ルートでは高度300メートルを航空機が通過する。飛行確認では付近の測定値が80デシベル台を記録した。ただ、地元の不動産仲介業者は「お客さんの反応? 全然変わらないね」と涼しい顔だ。別の業者はこうも言う。「便利になるから(航空機の騒音は)しょうがない、という感じだ」。
騒音より利便性
同じ京浜東北線の蒲田駅付近に立つ分譲マンションは、入居者の多数が羽田空港へ通勤しているという。モデルルームの営業担当者は、「入居者にとって航空機の音は日常茶飯事。それより空港への利便性のほうが大事だ」と話す。不動産調査会社の東京カンテイは、新飛行ルート上の地域におけるマンションの価格について、「現時点で有意な変化は見られない」(髙橋雅之主任研究員)という。
すでに航空機が住宅街の上空を通過している伊丹空港や福岡空港ではどうか。関西地盤のマンションデベロッパーは、「飛行ルート下だからといって、物件価格が割安なわけではない」と話す。福岡地盤のデベロッパーも、「福岡市はコンパクトシティーが売り。販売に影響はない」という。
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