北京でチョウが羽ばたくと、ニューヨークで嵐が生じる──わずかな変化が遠く離れた場所に思いも寄らない大きな影響を与える現象を、気象学者のエドワード・ローレンツはバタフライ効果と名付けた。新型肺炎の広がりを見るにつけ、このバタフライ効果という言葉が頭に浮かぶ。
人口1100万人の武漢市で発生した新型ウイルスが世界各国に嵐を巻き起こしているから、ではない。国や国際機関の初期対応がもう少し異なっていたら、ここまでの騒ぎにはなっていなかったのではないか、という思いからだ。
武漢市の周先旺市長は情報公開が遅れたことを認めているし、世界保健機関(WHO)は新型コロナウイルスについて世界的な危険度を “高い”とすべきところを事務的ミスで“中程度”と報告書に記載していた。日本政府も現地からの退避の勧告時期や帰・入国者の受け入れ態勢が適切だったとは言いがたい。
むろん、たとえ初動が完璧だったとしてもウイルスを封じ込められたかはわからない。しかし、初動のまずさが混乱と臆測を生み、その後の対処を一層困難にしてしまったのではないか。1頭のチョウの羽ばたきが次々と増幅されついには地球の裏側に到達するように。
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