有料会員登録 東洋経済オンラインとは
政治・経済・投資 #グローバルアイ

パナソニックで芽生える社内起業 「ゲームチェンジャー・カタパルト」の挑戦

3分で読める 有料会員限定

「社内起業」の実験が小規模ながらパナソニックで進んでいる。この試みが成功すれば、同社復活の助けとなるだけではない。革新的な高成長企業が同社から次々に巣立っていくはずだ。

大企業の中で、起業家(アントレプレナー)の役割を与えられた従業員を社内起業家(イントレプレナー)と呼ぶ。研究開発部門など既存の指揮系統から独立して活動する点に最大の特徴がある。各種研究によれば、社内起業家の多い企業ほど革新性が高くなり、収益も上がる。社内起業家の3割はいずれ自分で会社を立ち上げ、そこから大企業が育つことも少なくない。だが日本の社内起業は米欧に大きく見劣りし、これが日本経済の成長を妨げる一因となっている(詳しくは2019年5月11日号の本欄)。

こうした障壁に立ち向かおうとパナソニックの家電部門、アプライアンス社(AC)は16年に小さな社内起業ユニットを立ち上げた。その名は「ゲームチェンジャー・カタパルト」。代表の深田昌則氏は以前、海外マーケティングなどを担当していた。カタパルトでは5年以内に20〜100の新会社を立ち上げ、年商1億〜3億円の会社をいくつか生み出したいという。パナソニックの看板を背負うかどうかは決まっていない。

カタパルトは深田氏のある問題意識から始まった。「パナソニックはテレビ(用パネル)などから撤退する一方で、まるで新事業を生み出せていない」。提案の多くはまだ課長にもなっていない若手から上がってくるが、正式な研究開発部門の企画でなければ経営陣にはなかなか受け付けてもらえない。それが日本を代表する大企業、パナソニックの現実だった。

カタパルトが初期に行った提案もそうだった。食べ物をうまく飲み込めない嚥下(えんげ)障害に苦しむ高齢者向けに食事を軟らかくする調理家電だ。発案者は工場で品質管理を担当していた水野時枝さんと小川恵さんで、2人とも管理職ではなかった。企画はAC内で却下された。市場が小さすぎるというのが理由だったが、嚥下障害に苦しむ人々は日米欧にそれぞれ約200万人いる。実際、各国のスタートアップ企業が参加する米テキサス州のイベント「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」に試作品を出展すると評価は上々。これを見た上層部は心変わりし、開発にゴーサインが出た。ところが開発は社内の論理に阻まれ、結果的に打ち切られることになる。

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

政治・経済・投資

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数