年末年始、紅白歌合戦も知らない曲ばかりで、つい見てしまったのがテレビ東京「孤独のグルメ 大晦日スペシャル」である。
主人公の井之頭五郎氏は個人で輸入雑貨商を営み、独身という設定。ゆえに「ぼっち飯」がデフォルトになっていて、普通なら世間の同情を買うところである。しかるにそれこそが、現代人にとって最高の自由でありぜいたくである、という仮説がこのドラマの根幹を成している。
なるほど五郎氏は、飯を食うときに客先や上司に気を使うことはない。いつ、何をどれだけ食べるかは、すべて自分で決めている。高い店には近寄らないが、健啖(けんたん)家であり、たくさん頼みすぎても決して残さない。食前と食後には、手を合わせて「いただきます」「ごちそうさま」と唱える。まことに仁なるかな。俳優・松重豊氏が醸し出すこのストイックさこそが、番組人気の秘訣かもしれない。
ところがそんな孤高の自由は、凡人にはまねしがたいものである。現実に五郎氏と同じ境遇の人がいれば、きっとスマートフォンで近くの店を探したり、誰かが「いいね!」した店を選んだりするのであろう。出てきた料理の写真を撮って、SNSで発信したりもする。それではもはや、「孤独のグルメ」ではなくなってしまうのだが。
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