7月以降3回にわたるFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げは、NYダウ平均株価が2万8000ドルを突破して最高値を更新するなど典型的な金余り相場をつくり出した。
今年に入って景気減速が鮮明となり、製造業の不振が非製造業に波及して景気後退に陥るリスクが出てきた。そこで「予防的利下げ」を行った、というのがFRBの説明だ。米国の潜在成長率が2%程度では、昨年末のFF金利2.5%は確かに引き締め的かもしれないし、FRBが利上げを続ければ、新興国が苦しくなるという面はあった。
だが、現在の1.75%は明らかに緩和的すぎる。しかも、足元で米国の失業率は3.5%と歴史的な低水準でほぼ完全雇用。インフレ率は構造的に上昇しにくい。利下げの景気刺激効果はほとんどなく、資産価格を押し上げるだけで、連続利下げは明らかに不適切だ。米国の企業の多くは低利で調達した資金を自社株買いやM&Aの原資にしている。まさにバブルだ。
ダドリー前NY連銀総裁は、景気の不確実性を高めている大統領の貿易戦争を支援するようなことをFRBはすべきでない、と主張した。これは市場関係者から批判を浴びたが、現実に事態はそのような方向に動いている。
かつてのグリーンスパン元FRB議長同様に、現議長のパウエル氏も株価を意識した政策運営を続け、もう一段の株バブルが膨らむが、長続きはしない──市場関係者はこのように考え、不安を抱えながらマネーゲームに踊っている状況だろう。数カ月以内に何らかのきっかけで株価が大きく調整してもおかしくない。
けじめなき景気対策
リーマンショック以降、米国の景気拡張は10年以上続いているが、ここ数年は金融緩和と減税などの財政政策で延命している感が強くなってきた。金融政策や財政政策は、雇用が損なわれるような大きな景気後退局面で発動し、そこから脱却すればやめるべきものだ。だらだらと政策を続けることの副作用を考える必要がある。
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