マイケル・ブルームバーグ前ニューヨーク市長が、米大統領選挙での民主党の指名候補を決める予備選挙への出馬を表明した。現実主義の中道派を標榜し、エリザベス・ウォーレン上院議員などのリベラル派に対抗する構図だが、ブルームバーグ氏への反発は小さくない。そのため、かえって民主党を極端なリベラル政策に向かわせるリスクがある。
第1のリスクは、富裕層批判の先鋭化である。
ブルームバーグ氏の出馬で浮き彫りになったのは、選挙においても富裕層が優位である現実だ。資産税の導入など、富裕層を標的としたリベラル派の提案には、景気への悪影響に対する懸念が高まりつつあった。経済にとどまらず政治の舞台での格差にまで議論が広がれば、ブルームバーグ氏と中道票を取り合うバイデン元副大統領などの候補も、富裕層批判に同調しやすくなる。
異例の遅さでの出馬となったブルームバーグ氏がほかの候補に対抗できるのは、潤沢な資産を持つからだ。500億ドルを超える資産があり、選挙資金はすべて私費で賄う方針である。そのためほかの候補と違い、資金集めに奔走する必要がない。すでにブルームバーグ氏は、出馬表明直後に開始したテレビ広告だけで、ウォーレン氏が2019年初めから広告に費やしてきた費用の2倍に相当する私費を投入している。
リベラル派の候補は、財力で他候補を圧倒しようとするブルームバーグ氏を、「選挙を金で買おうとしている」(バーニー・サンダース上院議員)と批判する。遊説による有権者との対話より、巨費を投入した広告を優先する戦略にも、「民主主義のあり方が問われている。(有権者と会わず、金さえあれば勝てるのであれば)選挙はましな富豪を選ぶだけになる」(ウォーレン氏)と辛辣だ。
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