人工知能(AI)の商業利用が広がり、国家間の開発競争も一段と激しさを増してきた。これは経済と軍事力をめぐる覇権争いにほかならない。
こうした中、米議会は昨年、超党派の諮問機関「AIに関する安全保障委員会」を設立し、AI強化計画の策定に動いている。委員長を務めるのはグーグルの元最高経営責任者、シュミット氏だ。委員会は11月に中間報告書を公表し、中国のAI開発に対抗するには政府がもっと先手を打って関与を深める必要があるとした。同盟国との協力にも言及している。
米国のAI開発予算は増え続け、軍事・非軍事部門でそれぞれ10億ドルの大台に届くようになってきた。だが、委員会は関連予算を早期に最低でも倍増するべきだと勧告する。委員会はまた、長期の開発投資や官民協力の拡大のほか、米国立衛生研究所(NIH)のような機関を設立し、プロジェクトを統括する必要があるとも訴えた。
ただし、AI開発を加速するとなれば、すぐさま次の疑問にぶち当たる。ただでさえ足りないAI人材をどう確保するのか、大学や企業に対し中国人研究者の受け入れをどの程度規制するのか、という問題だ。シュミット氏は記者会見でこう明言した。米国のAI開発は「中国人研究者に依存しており、人材面で(中国と)たもとを分かてば、米国の損失となる」。
民間投資も同様だ。米国のAI関連企業に対する中国の投資は2010年の150万ドルから17年に5.14億ドルまで増えた。ただ、米国は安全保障を理由に中国の対米投資審査を厳格化しており、今後はブレーキがかかるとみられる。
当局が懸念を強めるのも無理はない。というのも、司法省が近年捜査した産業スパイの実に9割超が中国がらみだったからだ。委員会も「中国はAIを使い暗黒の監視国家を築こうとしている」と述べ、「AIが中央集権的な支配の拡大につながるのを防ぐ」必要があると強調した。AIは米国の経済競争力に関わるだけでなく、人権と個人の自由という民主主義陣営の大義に関わる問題──。委員会はこうした立場を鮮明にしつつ、AIで中国に軍事的な優位性を奪われてはならないと力を込める。
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