かつて中ロ関係は「仮面の友好」と呼ばれた。
同じように、最大の歴史問題は日中ではなく、中ロ間にこそ存在するともいわれた。
いずれも中国とロシアが互いを警戒しながら、表面上は良好な関係を築いてきたことを表現した言葉だ。1960年代の中ソ対立当時、中国はソ連が最終的には原子爆弾を使うと信じていたし、ソ連もその準備をしていた。そこに漂っていたのは、日中とは次元の違う緊張感である。
そんな両国が、ここにきて双方の関係のステージをワンランク上げようとしている。
その象徴が、12月2日から正式に開通した天然ガスパイプライン「シベリアの力」である。中ロ間では初めてのパイプラインだ。その輸送力は最大で年間380億立方メートルに達する。中国は世界最大の天然ガス輸入国であり、ロシアは世界の天然ガス生産量のおよそ20%を占める。世界最大の消費国と生産国の協力とも表現される。
開通に際し、ロシアのプーチン大統領は、「エネルギー分野での中ロの戦略的関係を質的に新しい水準に引き上げる」と強調。習近平国家主席も「(中ロの)深い統合と戦略的協力の見本だ」と応えた。着工は4年前であるから、単純に現在の中ロ関係を投影することはできないが、その変化は工事期間中に起きたのである。
「中国はもともと西からの経路だけにエネルギーを依存することに不安があり、ロシアからの輸入に乗り出した。つまりエネルギー安全保障の観点での事業だったが、今ではむしろ国際政治の要請が強まり中ロ蜜月の象徴になった」
中国国務院のOBはそう語る。
その真意は、経済力を増し強大化する中国に、「エネルギーと水を提供できる国としての強みをロシアが手に入れたことで成り立つ関係」というのだ。
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