批判に対する考え方は、日本と欧米とで大きく異なる。例えば英国議会では、野次さえある種の伝統と捉えられ、ユーモアあふれる野次には称賛が送られる。「オーダー、オーーダーー(静粛に)」と独特な口調で野次をいましめるバーコウ前議長は、その点ではさながら「笑点」の司会だ。
日本は、新しい何かを受け入れ、すでにあるものに同化させることで社会を発展させてきた。クリスマスを祝い、初詣をする年末年始の行事はその典型だろう。一方、欧米の知性は「弁証法」とともに発展してきた。対立から新しい考えが生まれる、という考え方だ。批判は対立する意見だが、新しい何かを生み出す原動力と(無意識に)考えられ、歓迎される。
それゆえ、政治、経済、文化、あらゆることが「振り子」のように揺れ動く。動きがあると、必ずその反動がある。英語のビジネスの現場やニュースなどでは、ペンデュラム(振り子)という言葉をよく聞く。振り子は単に左右に揺れ動くだけではなく、その揺れを推進力とするかのように上昇し、そうして社会を発展させていく、と考えられる。米国を起源とするマーケティングの世界も同様である。
マーケティング戦略の領域では、市場を細分化し、絞ったターゲットに向けて価値をとがらせる、という考え方が長らく支配的だった。特定のターゲットにその価値が深く刺されば、ロイヤル顧客となり、そのリピート購入や他者への推奨を通じて、市場シェアは拡大する。
が、この考え方の「反動」として、広く市場に浸透している商品が結果として高いロイヤルティーを獲得する、という考え方が登場した。ロイヤルティーはシェアを運ぶのではなく、その結果でしかない、というのだ。シェアは「実際の商品棚」と「心の商品棚」の占有がもたらす、という。
この記事は有料会員限定です
残り 623文字
