広告宣伝部門は企業の「コストセンター」だといわれる。お金を稼ぐ営業部門が「プロフィットセンター」だ。では、広告宣伝で使われるのは、何のためのコストなのだろうか。そんなことを再考させられたのが、米国のドミノ・ピザが行ったキャンペーン「Paving For Pizza(ピザのために道路を補修)」だ。
ピザを車で持ち帰るとき、道路にくぼみがあるとピザが崩れる。それを防ぐため、同社は行政に代わり道路の補修を行うことにした。サイトからくぼみを報告すると、同社が行政にかけ合い、専用の工事車両を派遣して修理してくれる。補修された道路には、あのサイコロ柄のロゴと、こんなコピーが。“OH YES WE DID”「そうそう、われわれがやりました」。この「広告」は、2019年のカンヌライオンズで金賞を受賞した。
もちろん、これはあくまで広告だ。本気で全米の道路からくぼみをなくそう、と思っているわけではない。ニュースで報道されたり、ネットで話題になったりすることで名前を売る、という計算もあるだろう。しかし、広告費というコストを「何に使うのか」から、クリエーティブに考え直した好例であることは間違いない。
広告は、広く告げると書くとおり、多くの人に自社のメッセージを伝えることをその目的とする。現代では、多くの人が集まるところに出向き、そこでメッセージを発信する、という方法が一般的だ。つまり、メディアの購入である。
本来必要な「価値の提供」
しかし、本来人を集め、話を聞いてもらうにはそれだけの価値を提供する必要がある。ライオンは創業当時、チンドン屋を行脚させて練り歯磨きを宣伝したという。娯楽の少ない時代、チンドン屋の演奏はエンターテインメントとなり、人々を喜ばせただろう。娯楽という価値の提供だ。
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