6年にわたって難航を続けてきた通商交渉が、にわかに動き始めている。日本を含む16カ国が参加するRCEP(アールセップ)(東アジア地域包括的経済連携)交渉で妥結の機運が盛り上がってきたのだ。10月12日にタイ・バンコクで開かれた閣僚会合での進展を受け、11月4日に同地で開かれる首脳会合で一定の合意に達するのではないかとみられている。
交渉参加国は昨年7月にも「2018年内の合意」で一致したが、実現しなかった。インドが中国に対する関税を引き下げることに抵抗したことが響いたとされる。ここに来て事態が動いたのも、インドの姿勢の変化によるものだ。
RCEPの起源は05年に中国が提唱した、ASEAN(東南アジア諸国連合)10カ国に日中韓を加えた13カ国による自由貿易圏構想だ。07年には日本がこれにインド、豪州、ニュージーランドを加えることを提案。13年からRCEPとして交渉がスタートした。実現すれば、世界の人口の半分、GDP(国内総生産)の3分の1を占める巨大な自由貿易圏が生まれる。
日本が「16カ国」を主張した背景には、当時第1次内閣を率いていた安倍晋三首相の強い意志がある。インドを入れることで中国とのバランスをとろうとしたのだ。現在の「自由で開かれたインド太平洋戦略」につながる考え方だ。
ところが、その後に交渉は長らく停滞する。貿易自由化の度合いや知的財産保護をめぐって「質の高い」協定を志向する日本、豪州、ニュージーランドと、それに消極的な中国やインドの意向が折り合わなかった。
インドはアフリカを狙う
中国の背中を押したのは、米国との貿易摩擦の深刻化だ。何としても19年中にRCEPをまとめるべく、関係国と積極的に交渉している。交渉加速のためにインドを外すという呼びかけにも踏み込んだ。6月にはマレーシアのマハティール首相も「当面は(日中韓とASEANの)13カ国で合意すればいい」と発言している。
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