拡大し続ける富の格差に対処するため、米国はそろそろ課税方法の変更を検討したほうがいいかもしれない。所得税ではなく、高所得者ほど負担の重くなる累進的な消費税に税制を切り替えるのである。経済学者の間では以前から消費税を支持する声が多かった。支出に課税したほうが効率的で、制度も簡素になるからだ。
なるほど、格差問題に切り込むには、ほかにもっと直接的な策もある。民主党の大統領候補に名乗りを上げたウォーレン上院議員は米国の上位7.5万世帯を対象とする超富裕層増税を提案。5000万ドル(約54億円)超の資産に2%、さらに10億ドル(約1080億円)を超える資産に3%の税を課すとした。このような大胆な策でどれだけの税収が上がるかは、学者の間でも見解が分かれている。
ウォーレン氏を支持するのが、格差研究で有名なカリフォルニア大学バークリー校のサエス教授とズックマン准教授だ。両氏によれば、10年で3兆ドル(約324兆円)近い税収増が見込めるという。投資家のソロス氏など、著名投資家からも支持する声が出ている。
一方、財政学の権威として知られるハーバード大学のサマーズ教授(元米財務長官)は、このような見通しは甘すぎるとの見方だ。同氏はペンシルベニア大学のサリン教授と共同で米有力紙に寄稿し、法人税率を引き上げるとか、富裕層の課税逃れを封じるとか、もっと伝統的な策を幅広く講じたほうが格差縮小につながると主張した。とはいえ、どちらも格差縮小を訴えている点で立場に違いはない。
ただ、ウォーレン氏とサマーズ氏らの案はいずれも一理あるとはいえ、仕組みが複雑になりすぎる。格差縮小のためならほかにもっと優れた税制が存在するのに、なぜそれを使おうとしないのだろうか。
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