8月21日、米国務省は台湾に対してF16V戦闘機66機を売却することを米議会に通知した。F16Vは、台湾が保有している旧型のF16よりもレーダーなどの電子装備が強化され、F22やF35などの第5世代戦闘機との相互運用性も向上している。しかし台湾が、老朽化が進む空軍戦闘機の後継機としてF16Vの供与を米国に要請していたのは、何よりもその空中戦能力の高さゆえである。中国戦闘機との空中戦を制することが目的なのだ。
中国は当然反発した。この米国の決定を、台湾への武器売却の段階的削減などをうたう米中共同コミュニケに対する「重大な違反」だとして、米国を批判したのだ。
しかし一方の米国には異なる見解があるだろう。台湾問題に関わる米中共同コミュニケにおいて米国は「台湾問題の平和的解決」への関心を示している。米国は、あくまで平和的解決を念頭に「台湾に対する武器売却をしだいに減らしていく」と述べているのだ。
中国が台湾周辺で軍事演習などの行動を活発化し、台湾に対する軍事的圧力を強める現状は、米国にとっては、台湾問題が平和的に解決される状況とは認められないということだろう。
米国と中国の主張は、どこまで行っても平行線をたどる。最優先に掲げるものが異なるからだ。中国は台湾の中国への統一こそが目的で、極端にいえば手段は問わない。一方の米国は、台湾が統一されるかどうかにかかわらず、平和の維持こそ重要だということだ。
しかし米国の本音は、台湾が民主主義陣営を離れることが許容できないということだろう。日本メディアは、今年6月1日に米国防総省が発表した「インド太平洋戦略報告書」が、台湾を地域のパートナーシップを強化する4つの「民主主義の国家の1つ」と位置づけたとこぞって報じた。
この記事は有料会員限定です
残り 694文字
