人民元の下落が急だ。8月26日、上海外国為替市場の人民元相場は1ドル=7.15元台をつけ、約11年半ぶりの安値となった。対日本円の下落幅はさらに大きく、訪日観光客の動向にも影響を与えそうだ。
中国では庶民の為替レートへの関心は高い。その背景には一党独裁の政治体制の下、政治要因で急変動する自国通貨への不信感がある。他通貨への交換に強い制約がある人民元で主な資産を持たざるをえない富裕層の潜在的な不安感はつねに存在している。
長く対ドルレートの防衛ラインとされてきた1ドル=7.0元を割り込み、さらに下落する予想も強い中、「この先どこまで落ちるのか」との戸惑いが広がる。上海で友人たちと顔を合わせれば、開口一番「人民元レートはこの先どうなると思うか」と尋ねられる。そんな雰囲気がある。
中国では国外に預貯金や不動産を所有したり、規制の網をかいくぐって海外投資したりしている人は少なくない。その場合、自国通貨の下落で額面の資産はむしろ増えるケースもあるが、当然ながら大多数は不動産を中心に大半の資産を中国国内に持っている。中国の富裕層の金銭感覚はボーダーレスで、例えば上海の自宅マンションが1000万元(1元は約15円)と言われても、むしろその1000万元がグローバルなマーケットではいくらの価値があるのかと考える。そういう感覚を持つ人たちである。
子女が海外に留学、もしくはその準備をしているケースも多い。筆者の友人は娘が来春から東京の専門学校に通う予定だ。学費やアパートを借りる費用などで当座、200万円ほど必要だが、1年前なら11万元強で済んだものが、現在では13万5000元を超える。2万5000元といえば日本円換算で35万円以上の負担増だ。普通の家庭にとってこの差は大きい。
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