英国のジョンソン新首相が人気者なのは「英国のトランプ」だからだ。そう語ったのは当のトランプ米大統領だった。2人ともポピュリズムの政治家として有名だ。意地悪な言い方をすれば、どちらも票のためなら平気で虚言をまきちらす政治家といえる。
この点で興味深い研究が心理学の分野で登場するようになっている。トランプ氏がホワイトハウスに上り詰め、ブレグジット(英国の欧州連合離脱)を声高にあおるジョンソン氏が英国の首相となり、各国でポピュリズムの旋風が吹き荒れるようになったのは、有権者がだまされやすくなってきたせいかもしれない、というのである。
一般には、不満や怒りをため込んだ有権者が、ジョンソン氏のような無軌道な政治家を支持していると考えられている。しかし、英『エコノミスト』は最近の記事で、有権者の幸福度がこれまでになく高まっている中で過激な政党の支持が強まってきたと指摘した。
同誌が引用した幸福度統計によると、人生に「とても」または「それなりに」満足していると答えた人の割合は、英国で2003〜17年に88%から93%へと上昇した。この間、「とても満足」と答えた人々の割合は31%から45%に跳ね上がっている。欧州連合全体でも「とても」または「それなりに」満足と答えた人の割合は1997年からの20年間で77%から82%に伸びた。
幸福な有権者が怒りに満ちた過激な政党を選ぶ逆説を解明しようと、『エコノミスト』は高齢化などいくつかの仮説を紹介している(高齢者は反動的な政党に投票しがちだが、幸福度も高い)。だが、これに関し豪ニューサウスウェールズ大学のフォーガス教授は、もっと突っ込んだ議論を展開している。幸福度が高まると人間はだまされやすくなるというのだ。いわば平和ぼけである。
この記事は有料会員限定です
残り 672文字
