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オリンピック後の不況は来るのか なぜ「五輪後不況論」が浸透しやすいか

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【今週の眼】小峰隆夫 大正大学地域創生学部教授
こみね・たかお 1947年生まれ。東京大学卒。経済企画庁経済研究所長、物価局長、調査局長、国土交通省国土計画局長などを経て、2017年4月から現職。日本経済研究センター理事・研究顧問も務める。著書に『人口負荷社会』『日本経済論の罪と罰』『政権交代の経済学』など。(撮影:尾形文繁)

私は大学で日本経済論という科目を講じている。学生に景気の話をすると、ほぼ間違いなく出る質問が「2020年の東京五輪の後、不況になるといわれていますが、どうでしょうか」だ。

私の答えは「東京五輪が終わることの経済的影響は小さい。よって不況は来ない」というものだ。ただし、私が力説するのは、「不況が来るかどうか」の当否ではなく、「なぜ東京五輪終了後に不況が来るとの考えが多くの人に浸透しやすいのか」という点だ。以下、思考のためのポイントを紹介しよう。

第1は、「規模感」を持つことだ。確かに、五輪に関連する需要が大きければその反動もまた大きいだろう。ではその需要の大きさはどの程度なのか。

東京都オリンピック・パラリンピック準備局が発表した「東京2020年大会開催に伴う経済波及効果」(17年4月)によると、五輪に伴う施設整備などの直接的効果は約2.5兆円(全国の付加価値誘発額)である。これは13年から30年までの累計の試算なので、1年当たりでは約1400億円(国内総生産の0.05%以下)にすぎない。

反動減の程度は、経済全体を動かすほどの規模ではない。

第2は「確実性のバイアス」に注意することだ。これは、確実なものは不確実なものより大きく見えるというバイアスである。一般に将来は不確実なのだが、東京五輪の開催は確実であり、よって五輪需要の反動が来ることも確実である。すると将来展望では、確実な部分をベースにしたくなる。多くの人が五輪後の不況を心配するのは、五輪需要の反動減が確実性のバイアスで大きく見えるからだ。

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