近年、プロ野球が再び盛り上がりを見せている。日本野球機構(NPB)公式戦の来場者数は、2018年に過去最多を記録した。全国放送のテレビ中継は、中継数・視聴率ともに低迷したままで、各球団の草の根的なマーケティング活動が来場者数増加に貢献している。
16年から18年の3年間、セ・リーグで観客動員を順調に増やしているのが、東京ヤクルトと横浜DeNAの2球団である。
東京ヤクルトは、ホーム球場である神宮球場の立地を生かし、仕事終わりのビジネスパーソンをナイターに呼び込む工夫が注目された。「ビール半額ナイター」「神宮花火ナイター」はファンを引きつける直接的な誘因になった。また何より「SNS映え」で、野球に興味のない人たちの関心を集めた。ファンが同僚を誘うよいきっかけになったのではないか。
15年12月、横浜DeNAは神奈川県の小学校などに通う約72万人の子どもに野球帽を無料で配布した。球団創設5年の周年事業だ。帽子をもらった子どもたちが、横浜DeNAのファンになることは想像にかたくない。好きが高じて球場に野球を見に行く。当然、親もついていくだろう。
自らメディアを創る
子どもたちが帽子をかぶって街を歩けば、街行く人が横浜DeNAのロゴを目にすることになる。「久しぶりに野球でも見に行ってみるか」と観戦を「想起する(思い出す)」きっかけになるだろう。
消費者がブランドを知ったり、思い出したり、好きになったり、逆に嫌いになったりするきっかけはさまざまだが、テレビや新聞など伝統的メディアの影響力が後退したのは確かだ。デジタルメディアでさえ危うい。東京ヤクルトの例ではビールや花火、横浜DeNAの例では野球帽が、直接的、間接的にメディアのような機能を果たしているのである。
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