マーケティングを「広告宣伝」と狭く捉える誤解が広まっている。伝統的な分析手法である「マーケティングの4P」が今日の実務では使いづらくなったことがその背景にある。最終工程の広告宣伝の段階では、すでにビジネスの勝負は決していることも多いので、この誤解は致命的だ。
マーケティングが本来持っている広がりを確認するため、全米マーケティング協会による定義を見てみよう。「マーケティングとは、顧客、クライアント、パートナー、社会全体にとって価値のある提供物を、創造し、伝え、届け、交換するための、活動、一連の組織、プロセスである」。
ポイントは3つある。まずマーケティングは商売だけに使うものではない、ということ。寄付や宗教の信徒獲得のためのマーケティングもある。また、専門の組織を必ずしも前提としない。たとえ内部にマーケティング部がなくても、その過程や活動は組織の中に組み込めるし、組み込まなくてはならない。
最後のポイントは「価値の交換」だ。マーケティング部門を持つ営利企業にとって、ここが最も重要である。筆者はこの考え方をベースに、マーケティングを「市場の定義」「価値の定義」「価値の創造」「価値の伝達」に分解している。4Pに代わる実践的な考え方の枠組みだ。
大宣伝でも挽回できず
「市場の定義」では、競争相手は誰なのかを考え、誰が顧客で誰が顧客ではないのか、という市場の境界線を引いていく。オンラインの英会話教室であれば、競合は同じようなオンライン教室なのか、実店舗を持つ大手まで考えるのか。余暇を使っての自己啓発まで視野を広げ、社会人の教育機関やビジネス本を売る書店も競合と捉えるのか。①市場の規模、②市場の成長性、③競合状況、④自社の能力との親和性、⑤自社の他事業との親和性を考慮しながら決めていく。
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