「ポンペオ氏を米朝交渉から外すべきだ」。米国国務省のポンペオ長官とビーガン北朝鮮担当特別代表は、北朝鮮から聞こえてくる悪口雑言に驚いているだろう。北朝鮮はさらに、ボルトン大統領府国家安全保障担当補佐官に対しても「間抜けに見える」と、対米批判のボルテージを上げる。
米国側は今年2月末のハノイでの米朝首脳会談以降、北朝鮮の無反応ぶりに焦っていた。「首脳会談以降、連絡をしても何の返事もない」。3月下旬、ビーガン氏は「3回目の首脳会談開催のために助言を請う」として訪中した際、中国共産党・政府関係者や研究者に対し、こう漏らした。
ただ「北朝鮮の非核化は、これまでどおり外交的手段で解決していく」とビーガン氏は明言したという。「米国は今後も軍事的な解決方法は採らず、対話で達成するという意味だ」(中国側の面談者)。
北朝鮮が対米批判を始めたのは、4月11日に開催された最高人民会議(日本の国会に該当)がきっかけだ。この時期、北朝鮮は指導部人事を行った。合意なしという不発で終わった首脳会談の責任を問われるのでは、と注目された対米交渉の責任者・金英哲(キムヨンチョル)・朝鮮労働党中央委員会副委員長は指導部に残り、崔善姫(チェソンヒ)・第1外務次官は党国務委員会委員へと昇進した。実務トップだった金革哲(キムヒョクチョル)・国務委員会米国担当特別代表は外務省に戻った。事実上の更迭だ。
「なぜ合意しなかったのか」
それでも金英哲、崔善姫の両氏を残留させたことは、北朝鮮側も米国と対話を続けるという意味だ。そうせざるをえない事情が見えてきた。首脳会談後の3月、訪朝した外国人らは「平壌市民に会うと誰もが、『なぜ米朝は合意しなかったのか』と強く尋ねてきた」と口をそろえる。制裁緩和につながる合意がなかったことに落胆を隠しきれずにいたという。
この記事は会員限定です
残り 698文字
