【著者プロフィル】Heidi Benneckenstein/1992年、ドイツ・ミュンヘン近郊のナチ信奉者の家庭に生まれる。5歳から右翼団体の秘密キャンプに送られ、徹底した思想教育を施された。かつての同志の多くは極右勢力となったが、自身は脱退の道を選択。現在は保育士として働く。
本書の題名は『ネオナチの少女』となっているが、著者のハイディ・ベネケンシュタインは自らを「ネオナチ」とは定義していない。「ネオナチの人々とは、思想も生い立ちもまったく違う」と言い切る。彼女はかつての自分を「ナチそのもの」だと定義する。
現代の若い女性が「ナチ」を名乗るのは少し奇異に感じるが、本書を読み進めるとすぐに合点がいく。
彼女の祖母はヒトラーユーゲントの女子部門であるドイツ少女団の出身で現在もナチ信奉者。父は公務員で自信に満ちあふれカリスマ性を持つ男だが、やはりナチの信奉者だ。著者は幼少時よりナチズムの教育を受けて育った。
その徹底ぶりはすさまじく、敵性語として英語の使用が禁止されていたほどだ。さらに幼少の頃から、ヒトラーユーゲントの正統な後継団体であるドイツ愛国青年団で、準軍事教育や思想教育を叩き込まれた。
ドイツ愛国青年団のキャンプに参加する子弟のほとんどが医者や弁護士など中流階級以上の出身者で、労働者階級出身の子どもは皆無だった。彼らはナチが再び台頭した際、「第四帝国」を担うエリートになるべく教育されているという。ドイツの極右は高度に組織化されているのだ。
日本では戦後のドイツは過去と向き合い、負の歴史を清算してきたイメージが強い。実際、日本が歴史認識で周辺国ともめるたび、ドイツを見習えと繰り返されてきた。その国のエリートの間で、今でもナチ思想が受け継がれていることに驚きを禁じ得ない。
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