目下、欧州金融機関の2018年通期決算が発表されている。総じて、金融市場関係損益が冴えないため、収益はぱっとしない。だが、自己資本比率とレバレッジ比率(資本に対するリスクの割合)は規制を十分クリアしており、信用リスクは安定していると考えられる。
欧州金融システムはこのまま安泰とみてよいか。いくつか不透明な要素を検証しておきたい。
第1に不良債権比率である。ECB(欧州中央銀行)が四半期ごとに発表する民間金融機関の不良債権比率は明らかに改善した。EU(欧州連合)全体の同比率は欧州債務危機が悪化した13年12月期の6.8%から18年9月期には3.4%へ減少し、不良債権処理はピークアウトした。
だが、ギリシャの同比率は43.4%、ポルトガルは12.0%、イタリアは9.4%と高く、こうした国々では不良債権問題は改善途上である。しかも、12月にはEU議会が不良債権の引き当て要件を緩和した新規則を採択した。そのうえ、ECBが金利を引き上げれば、不良債権処理はストップしかねない。
第2に自己資本比率。損失吸収力の高い自己資本(普通株式や内部留保など)のリスク資産に対する比率は、国際金融規制のバーゼル3で4.5%以上が求められている。18年9月期でEU平均は14.5%と十分だ。18年11月2日のストレステストでは、対象の大手48行について、特段指摘はなかった。
しかし、イタリア中堅のカリジェ銀行は資本不足を自力で解決できず、19年1月にECBの暫定管理下に置かれた。イタリア以外にもドイツやスペインの中堅に資本不足の問題行はまだある。金融システム不安には発展しないまでも、こうした銀行が合併や統合に進む可能性は見ておきたい。
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