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「裸の王様」は言わずと知れたアンデルセンの童話。小欄では第85回で、権力を集中した中国の習近平国家主席を諷刺して使った表現である。しかしそれが2018年末、当の中国当局から出てきたのでいささか仰天した。思わず失笑し、また苦笑もしている。
18年12月17日、中国外務省の定例記者会見で述べた華春瑩(かしゅんえい)報道官の発言である。
「アメリカとカナダが法律と規則を守ったと言っていることに驚いている。これは現代版の“裸の王様”だ」
くだんの話題は、中国の通信機器大手・華為(ファーウェイ)技術の副会長兼最高財務責任者(CFO)の孟晩舟(もうばんしゅう)がカナダで逮捕された事件である。かねて中国・米国・カナダの3カ国を巻き込んだ国際問題に発展した。
皇帝の新装という諷刺
孟晩舟の逮捕事件は、米国と中国が先端技術の覇権を争って対立を深めていることが背景にある。そこはよく周知のところなので、あえて小欄で重ねてとりあげる必要もあるまい。ここで注目に値するのは、二つである。
ひとつは「裸の王様」という譬喩(ひゆ)表現、いまひとつはそれが形容したいわゆる「法治」の意味内容で、いずれも語義自体をくわしく講釈する必要はあるまい。
前者は一般常識から浮き上がった権力者の不都合な馬脚があらわである、ということである。それなら米国・カナダが権力者で、中国は被治者・被害者にほかならない。この位置づけ・構図が何より笑えるところだった。
しかも「裸の王様」はあくまで日本語で、日本人なら笑ってすむ。そもそも「王様」のいない国で、どこか遠い外国のことだと嘯(うそぶ)いていてかまわない。しかし中国では、そうはいかないはずだ。
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