「欧州軍」創設に向けた議論がにわかに盛り上がりを見せている。欧州連合(EU)で統一の軍隊を持つという案は最近、フランスのマクロン大統領が提示したものだが、米国のトランプ大統領はこれを「屈辱的」と批判。しかし、ドイツのメルケル首相は欧州軍創設に賛意を表明している。
欧州軍構想が前面に出てきたのは今年11月。第1次世界大戦終戦100周年を迎え、欧州の関心はおのずと“戦争と平和”の問題に向かっていた。第1次大戦の戦場跡を視察したマクロン氏は「欧州の平和は危うい状況にある」と断じ、「真の欧州軍を持つ決断を下さないかぎり、欧州の人々を守ることはできない」と述べた。
欧州軍のアイデア自体は第2次世界大戦後、欧州が統合に向けて動きだした当初から存在していた。しかし「欧州防衛共同体」の下、旧西ドイツ、フランス、イタリア、ベルギー、オランダ、ルクセンブルクから成る汎欧州防衛軍を創設する計画は、1954年にフランス議会が条約批准を拒んだことで頓挫。その後、欧州統合の枠組みは経済重視となり、安全保障は北大西洋条約機構(NATO)および米国任せの状態が続いている。
確かにEUは共通の外交・防衛政策確立に向けて新たな枠組みの整備を進めてきてはいる。しかしそうした状況を差し引いても、欧州軍をめぐる最近の議論は紛れもなく画期的なものだ。
マクロン氏はいみじくも、欧州の安全保障環境が急速に不安定化してきていると考えた。今日の欧州は、軍事的な野心をむき出しにするロシアと中国、そして国際秩序を揺るがすトランプ氏の脅威にさらされている。トランプ氏が欧州の安全保障に対する米国の役割に疑問を呈した以上、欧州軍構想が再浮上してきたのは当然といえよう。ロシアは軍備の刷新を図っており、国益追求のために一段と軍事力をちらつかせる構えだ。
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