北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)委員長は2度目の米朝首脳会談を心待ちにしているはずだ。シンガポールで初会談を行ってから、正恩氏はつねにトランプ米大統領を出し抜いてきた。トランプ氏は今も自分が世界的なディールの達人だと思い込んでいるが、同氏の手の内は正恩氏に見透かされている。
正恩氏は愛想よく振る舞い、非核化を約束することでトランプ氏の脅迫をいなし、韓国を味方に引き入れ、制裁に穴を開けてきた。しかも、核について実質的にいっさい譲歩することなく、これらを成し遂げたのだ。16カ所の秘密施設では今も弾道ミサイル開発が続行中だという。正恩氏は米大統領との会談という、父や祖父がなしえなかった偉業をも達成している。
一方のトランプ氏は正恩氏とは対照的に、自慢できるような手柄はまるで手にできていない。米政府高官は1回目の会談以降、非核化の工程表を差し出すよう北朝鮮に圧力をかけてきたと伝えられる。だが北朝鮮は、核に関する基礎的な情報すら手渡そうとしない。トランプ氏以外を相手にしても意味がないことを心得ているからだ。
脚光を求めてやまないナルシシズム、ノーベル平和賞受賞者となりオバマ前大統領に追いつきたい焦燥感──。正恩氏が知っておかなければならないのはこれだけだ。解かねばならない問題はただ一つ。トランプ氏が自らのエゴを満たすのに必要なものを手に入れるために、北朝鮮にどこまで譲歩するつもりなのかに絞られている。
北朝鮮が非核化の条件として、朝鮮戦争の終戦宣言を持ち出していた点を思い起こしていただきたい。トランプ氏はシンガポールでの会談で、これに応じると約束し、同盟国と米政府関係者を仰天させた。次いで10月にポンペオ米国務長官と会談した正恩氏は制裁解除を求め、ディールの賭け金を一段と吊り上げた。11月には、米国が制裁緩和に応じなければ核開発再開の可能性があるとの警告を、政府高官名で発出してもいる。
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