多くの日本人にとってデンマークのフェロー諸島はなじみが薄い。日本を代表する海外旅行ガイドブックの『地球の歩き方』の北欧編に記述はなく、英語のガイドブック『ロンリープラネット』でもフェロー諸島については1ページしか割かれていない。
スコットランドの北端から約300キロメートル、北緯62度付近にあるこの島は人口約5万人にすぎないが、自治政府に加えて独自の通貨がある。
高緯度で日照時間の短いこの島では農耕が難しい。9世紀ごろ、ヴァイキングが入植して以来、人口を上回る羊と恵まれた水産資源が島の人々の生活を支えてきた。
そんな食材の宝庫である島に誕生したのがKOKSだった。
2011年に開店したこの店は、14年に北欧で最高のレストランに贈られるノルディックプライズを獲得、17年にはミシュランの星も獲得し、欧米の有名雑誌がこぞって取り上げている。
18年8月、コペンハーゲンから飛行機で2時間20分、空港でレンタカーを借りて30キロメートルほど走り、このレストランにやってきた。
店舗はかつて、フェロー諸島の首都トースハウン近くにあったが、18年春、島の内陸に移転していた。グーグルマップを見ても店までの舗装道路は見当たらない。
予約時間の19時、店近くの湖に車でたどり着くと、スタッフから声をかけられた。湖畔の小屋でアミューズと食前酒を取った後、専用の4WDで店へ移動する。
生のフジツボつきの貝も
18世紀の避難小屋を改装した店内は天井が低く狭い。だが、食事こそが主役なのでこれで十分だ。
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